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実際のクヒオ大佐結婚詐欺事件は、こうだった…



 今でこそ、茶髪は街に氾濫し、男も女も赤だの、茶だの、紫に青と色々染め上げ、世の中、閤歩している。それでも金髪はなかなかで、まして眉もまつげもとなればそうはいない。
この男が現れた19フO年代末から80年代当初といえば、まだまだ日本人には黒髪が主流だった。

 1982年10月、髪も眉もまつげも金色で、サングラスをかけ、米空軍の制帽をかぶり、大佐の肩章のついた制服を着た男が51歳の独身女性A子さんの前に現れた。もっとも身長は160cmちょっとなのであるが。

 待ち合わせた喫茶店で、「ワタシはベークーグンの大佐で、英国王室の子孫……。アナタと結婚すれば王室から3億円の資金が出る。ところが、ンー、軍の金を使い込んでしまい返済に困っている。とりあえず800万円を貸して」と、カタコトの日本語。名前はプリンス・ジョナ・クヒオで、エリザベス女王の双子の妹と、ハワイのカメハメハ王国のクヒオ王とのあいたに生まれ、今は軍の特殊任務についているとも話した。「エリザベス女王は双子だったっけか?」「カメハメハ大王……。王国っであったっけ」などと思っているうちに話はどんどん進んでゆき、気がついたときには手持ちの800万円を渡していた。なんたって金髪にサングラス。
しっかりアメリカの軍人さんなのだから。その後も、任務の性格上、連絡先は教えられないと、一方的に電話をしてきては「結婚してくれ」と「金、貸して」。そして翌春の結婚式まで決めてしまった。

 A子さんもどうしたわけか、挙式の日取りまで決めたあり余る情熱と、「結婚すれば3億円か英王室からもらえる」というプリンス・ジョナ・クヒオの言葉を信じたのか、自分の金1500万円を渡したうえに、知人から借りた3000万円も渡してしまった。

 金を渡したらそれでおしまいが、この手の話の定番で、途端にさっぱりと連絡が途絶えた。挙式予定の2ヵ月前、途方に暮れ、思いあまっだA子さんは、アメリカ大使館に問い合わせ、そんな人物はいないとのそっけない返事に初めてだまされたことを知る。

 1984年6月15日、この男プリンス・ジョナ・クヒオは渋谷の路上で逮捕された。A子さんから4500万円をだまし取った容疑だった。だまされたことを知ったA子さんが告発してから逮捕までも、六本木あたりのスナックに出入りしては、同じ手口で女性をだましていたようだった。

 捕まえた三田署員も「どう見たってアメリカ人たったねえ」とびっくりすれば、もっとびっくり仰天したのは、81年9月に結婚して1児をもうけた妻たった。「そんな馬鹿な、ジョナが日本人だったなんて」と絶句したという。絶句したのは、報道を見た我々もだった。そこまでなりきっていたのかと。変装の趣味や技術だけではなく、もっと深い思い、アメリカ軍人になりきらなければならない理由があっだのではないか。


 ともあれ、捕まえてみればプリンス・ジョナ・クヒオは、逮捕歴フ回の結婚詐欺常習犯、北海道出身の鈴木和宏(42歳)たった。これで一件は落着かと思いきや、捜査陣が驚いたのは、鈴木の自宅から、小道具というのか、仕事着というのか、米空軍パイロット制服などの軍服、ニセの身分証明書などとともに、なんと西ドイツ製のピストルと実弾23発が出てきたのである。笑っちゃうほど滑稽感ただよう結婚詐欺師と拳銃が結びつかなかったのだ。

 その拳銃と結びつくような証言が飛び出した。以下は-「サンデー毎日1984年フ月8日号」に掲載された「米軍将校結婚詐欺男にはベトナム脱走兵に化けた前科があった」(吉岡忍)から-。

 金髪に米軍の制服姿のジョナ・クヒオが、初めて現れたのは、事件をさかのぼること十有余年の1968年だった。
 その当時、クヒオこと鈴木和宏の背景と人脈を調査したという人物は、「少なくとも一時期は謀略スパイのようなことをしていたはず。戦後日本の極右地下人脈と結びつき、軍服姿の最初の仕事は結婚詐欺ではなく、60年代後半、ベトナム戦争からの米脱走兵を援助していたグループに替り込んで、ストックホルムまでつなが
る秘密ルートを破壊することだった」と証言している。

 ベトナム戦争は泥沼化し、国際世論もアメリカの侵略を批判し、米軍のなかからも脱走兵が何人も出て、べ平連の地下組織の手でストックホルムに脱出していた。そんな時期の1968年1月21日、東京新宿の原子力空母エンタープライズ入港反対集会の場に鈴木が現れた。

 「エンタープライズから脱走してきました。スウェーデンまで逃がしてください」とカタコトの日本語で話す、ジャンパー姿の男はジョン・ジョナ・クヒオと名乗った。その夜、ジュラルミントランクを持った鈴木を脱走援助組織が面接、「当然のことですが、面接は英語でやります。氏名、階級、動機など、・‥‥‥ところがあの男、英語をまったく理解しない」。自分は日系二世で日本語で育ったと言う。原子力空母に英語のできない軍人を乗せるはずがない。たった5分の面接でクヒオは叩き出された。「脱走兵援助は、米軍犯罪捜査局と日本の警察に追跡されてましたから、我々も逆探知しなければ危険だった」

 それで調査した結果、「米軍の特殊任務についている日系二世」となじみの売春婦に語り、超夕力派で知られた判事の名刺もちらつかせていたことがわかった。

 「脱走兵ルートをさぐれと、秘密の指令でも受けていたのかな。ただそれにしてはオソマツな人材を送り込んできたなという印象たった」

 果たして本物のスパイであったのかと考えるのもばかばかしい、にわかに信じがたい話なのである。もちろん、当の鈴木は大真面目だったのであろうけれども。

 米軍人に化けて、反米組織をつぶすというもくろみはあえなく、たった5分で終わってしまったとはいえ、その後もアメリカ人を続けた鈴木は、その矛先を女性に向けた。東京、川崎などで、女性に言い寄ってば結婚を□実に金をだましとっていたが、これもまた、あえなく逮捕を繰り返していた。


 毎日新聞社刊「かい人21面相の時代」より
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[C118]

確かに被害者も悪いですね。見破れなかったから。

[C114] 被害者、英語力なさすぎ!

こんな奴、英語で話しかければ一発でバレたのに、
なぜ見破れなかった?

[C2] No title

誤字で笑える0だった≦たつた
  • 2012-04-20 15:10
  • 奈々子
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